全日本大学駅伝を終えて（改定）

出雲の惨敗でガクッと評価を落としてしまった中大。しかし敗因は「新戦力原田君、家高君が普段どおりの実力を発揮できなかったこと」と明快だったので、全日本での巻き返しに期待が高まりました。
また、池上君・花田君の成長、nom君・杉山君・池田君の復活、そして東海大記録会での岡本君・ノムシュン君・中野君の好走によりチーム全体の底上げが順調に進み、明るい雰囲気に包まれるなか全日本を迎えました。

しかしながら今日のレースでは、序盤に遅れてしまった流れを最後まで取り戻すことができず、上位3校には力負けを喫してしまいました。特に駒沢にはほぼ全区間で敗れたのが本当に残念です。
ただし、終盤粘って4位まで持ってきてくれたのはさすがの底力、正直なところほっとしています。
レース展開については皆さんご存知の通りですので、出雲と同様省略いたします。このコラムでは、箱根に向けての課題と光明について区間毎に触れてみたいと思います。

1区池上選手　（区間１１位）
まずは1区の池上選手。直前の情報で、合宿の疲れが取れずやや不調とのことでしたが、残念ながら今回は1区の重責を果たす事が出来ませんでした。エース区間での洗礼を浴びてしまった格好です。しかし池上君は藤原君・野村君とともに中大を引っ張るエースとして、どんな状態でも最低限の責任を果たす義務があると思いますし、逆にそれができるだけの選手だと信じて疑いません。今日のレースで残念だったことは、モカンバ選手が落ちてきたことで、2番手グループのペースが上がった時にきっちり対応できなかったことです。そして更に良くないのは、その後少し先頭と離され過ぎてしまったことですね。
箱根では距離の不安を払拭すると共に、ピーキングを成功させ、今日のリベンジを果たして欲しいと切に願います！！
（でも実は池上君に関してはあまり心配していません、箱根は絶対にやってくれますよ！！）

2区野村選手　（区間８位）
奇跡の復活後、この全日本ではどこまで復調しているのかが注目されたnom君。トップから1分30秒遅れという不本意な位置で襷を受けたので、中継所では少しムッとしているように見えました（笑）。すぐ後ろで襷を受けたのが帝京の中崎選手だったので、いいペースメーカーになると思ったのですが、残念ながら最後は離されてしまったようです。途中中崎君と併走するところが映り、先頭とのタイム差を20秒くらい詰めていたので”これはいいぞ！”と期待していたのですが、後半失速してしまったようです。TVでもその後は全く映らなかったので、その走りは確認できませんでしたが、完全復活とまではいかなかったようです（やはりスタミナ切れなんでしょうか？）。
今日の駅伝の敗因は正直なところ1区2区で先頭から2分離されてしまったことにあるので、責任感の強いnom君はかなり悔しい思いをされているはずです。しかしnom君は池上君同様、箱根ではやってくれはずなので、今回は仕方がないかなと思ってます。（区間記録を見てみたら、区間賞の松下君や徳本君とは約１分差がつきましたが、その他の選手とはほとんど差がありませんでした。故障明け間もない状態でも最低限の仕事を果たす野村君はやはりさすがです！）

3区家高選手　（区間６位）
期待の1年生が今回は結果を出しましたね。出雲では何故か失速してしまった家高選手ですが、今回はその借りをきちんと返してくれたと言えるでしょう。最短区間とはいえ強豪選手が揃った3区で、区間記録こそ６位ですが、区間賞の揖斐選手に遅れることわずか２６秒差という成績は予想通りのスピードと強さを見せてくれました。前を走る帝京・京産に追いついたので、4区花田君が走りやすくなったという意味でもとても大きかったと思います。走り終えた後に疲れた様子も見せず、結構余裕の表情だったのが印象的でした。（本当はもう少し行けたかな？）。いずれにせよ頼もしい新人が登場したものです。今回の全日本は、家高君にとって箱根に向けて大きな自信になったことでしょう。家高選手、本当に良かったね！！これで箱根は当確でしょう。

4区花田選手　（区間６位）
早稲田の原田君が区間新記録の快走をしたこともあって、後方を走る花田君の姿は一度もTVに映りませんでした（泣）。本来ならばトップとの差を少しでも詰めて欲しかったのですが、相手が神屋君では仕方がないかも知れません。その神屋君との区間記録の差が約30秒なので、今日の花田君はぎりぎり合格点といえるでしょう。帝京北島君に競り勝って置き去りにしたのも収穫といえます。しかし花田君にかかる期待の大きさを考えるとこの程度の結果で満足はして欲しくありません。花田君の実力なら前を積極的に追っていく力強い走りが絶対にできるはずですから。もう一段強くなった花田君を箱根ではぜひ見てみたいと思っています。

5区杉山選手　（区間１０位）　
つなぎの区間に杉山君が配置されたので、中大にとっては前との差を詰めるドル箱区間と期待していましたが、残念ながら更に差が広がる残念な結果になってしまいました。今日の駅伝は実質的にはここでジ・エンドでした。中盤まではいい感じで京産大と併走していただけに、最後大きく引き離されて中継所に来た時は、杉山君の復活を心待ちにしていたわたしにはかなりショックでした。そしてもうひとつ気がかりなのが、かつて高校時代に見せていた燃えるような闘志がその走りから伺えなかったことです（元々おとなしい性格の選手ですが）。
しかし、箱根駅伝に向けて杉山君の力は絶対に必要になると思うのです。大学での4年間はつらい状況が続きましたが、わたしは杉山君がこのまま終わる選手とは思いたくないし、最後の箱根で今までの鬱憤を晴らす大活躍してくれると信じています。
その最後の箱根まで残りはわずか2ヶ月になりました。この後、選考レースとして府中ハーフと日体大記録会があると思いますが、何としてもここで完全復活の足がかりをつかんで欲しいと思います。素質は一番の選手なんですから、自信さえ取り戻せばきっとやれるはずです。闘志溢れる杉山君の走りを心待ちにしているファンが大勢います。頑張れ！杉山選手！！

6区原田選手（区間４位）
出雲では原田君の区間で流れが一気に悪くなりましたが、今回は悪い流れを止める大活躍をしてくれました。出雲のコラムで「原田君はスピードが心配」と書いたところnom君に「そんなことはない」と否定されてしまいましたが、今日はそのスピードが伊達ではないことを見事証明してくれました。6�`過ぎで京産大に並びかけるシーンが写った時は、久しぶりに溜飲を下げたものです。
これで秋以降の大レースの結果は２勝１敗。今後は常に安定して走れる強い選手に成長してくれることを期待しています。
いずれにせよ、今日の原田君はすばらしかったです。箱根当確おめでとう！！

7区池田選手　（区間３位）
今年に入ってから不調が続いていた池田君が完全に復活しました。中大4位の立役者は間違いなく池田君ですね。この区間は毎年TV中継が中断されて第6中継点の様子がわからないので、池田君の映像はアンカー藤原君への襷渡しの場面だけしか映りませんでしたが、その走りは闘志に満ち、スピード感溢れるものでした。素晴らしいです。
区間記録も野口君、高見沢君に続く３位で、ともに区間新記録を樹立しました。
池田君と言えば、印象的なのが一昨年の府中ハーフでの激走です。あの年も確か秋口まで故障で走れなかったのが、府中で一変し箱根2区の抜擢につながっていった記憶があります。中大の選手は3年の秋から大きく伸びる傾向がありますが、池田君にはぜひもう一度2区を走る気概を持ってさらに頑張って欲しいです。

8区藤原選手　（区間４位）
池田君の快走もあり藤原君が襷を受けた時は、5位法政とは15秒差、4位早稲田とも55秒差だったので、この時点で中大が4位に入ることは確信していました。あとは岩水君・カリウキ君に勝って区間賞を取れるかどうかに注目していましたが、さすがの藤原君も早稲田をかわした後は目標がなくなってしまい、区間賞の獲得までは及ばなかった模様です。しかしタイムは５８分４９秒という素晴らしいものだし、あの位置で襷を受けたことを考えればいいレースだったと言えるでしょう。それにしても藤原君はどんな位置で襷をもらっても、必ずいい状態で渡すことができる素晴らしいエースですね。是非在学中に早稲田の渡辺康幸選手や鹿野屋体育大の永田選手の域まで達してもらいたいものです！

総括
「序盤に出遅れ最後になんとか追い込む」という中大いつもの悪い癖に完全にはまってしまいました。（あの展開から必ず追い込んでくるのはすごいことですが）。当たり前のことですが、やはり駅伝は前の方で流れに乗ったチームが強いです。昨年の方が悪いレースでしたが、2区板山選手の爆走で首位争いした印象が強かったので、正直今回の方がレースそのもののイメージは良くないです。（全くレースにならなかったという意味で）
あと全体として言えることは、チームとして少しちぐはぐした印象を受けてしまいます。前回良かった池上君がやや不調で、前回不調だった家高君・原田君が好成績を収める。どうもうまくいかないようです。
でも今回のレースを通じて全ての選手のポテンシャルが高いことは証明できたし、昨年に比べればタイムも順位もはるかに凌いでいるわけで、箱根に向けては視界良好というところでしょうか。
箱根への展望ですが、昨年と比べると板山・永井という大砲がいなくなったのが明らかにマイナスですが、その分選手層は確実に厚くなってますし、個々のレベルアップも充分なされてきています。ここ数年は全日本で不調でも、府中ハーフ・日体大で好記録を連発し箱根への勢いをつけていく流れになっていますので、残りの2ヶ月でバッチリ調整してきてくれるでしょう。中大の箱根に向けての調整スキルは抜群ですしね！
次は23日の府中で選手の皆さんの活躍を期待しています！頑張れ中大陸上部！！

以上